UFOの時代

UFOとポストモダン (平凡社新書)
昨日、木原善彦『UFOとポストモダン』(平凡社新書)を読んだ*1
木原氏は、「UFO神話」を年代別に三段階――すなわち「空飛ぶ円盤神話」「エイリアン神話」「ポストUFO神話」――に分けている。一時期話題になった、「スカイフィッシュ」や「ミレニアム・バグ」「マイナス・イオン」などの「都市伝説」まで考察の対象とするのが面白い。木原氏によると、UFOの存在について、「信じる/信じない」という対立軸を適用することは、比較的新しい現象であるという。前期UFO神話(「空飛ぶ円盤神話」期にあたる)においては、対象の同定が問題となっていたのだそうだ。もちろん、後者が本来のあり方である。
いわゆる「超古代史」は、「エイリアン神話」期つまり「後期UFO神話」に擡頭した「学問」であろう。海野弘氏は、『陰謀の世界史』で、「系譜」と「陰謀」の連関を説いていた。この時期には、たしかに両者が分かち難く結びついていたのであろうけれども、「ポストUFO神話」は、その「系譜」をいつの間にか喪ってしまっていたのかも知れない。それが木原氏のいう「現実的な攪乱者の姿」(p.192)なのだろう。
そういえば、横尾忠則に『UFO革命』(晶文社)という著作があって、古本屋で立読みしたことがある。これはコンタクティ(宇宙人と直接会ったり連絡を取ったりしたと主張する人々のこと。アダムスキーがその代表例)たちとの対談集だったように思うが、横尾自身にそのような「経歴」があったことを知らなかったので、少なからず驚いたものだった。
【追記】某ブログ経由で、宮台真司氏がこの本に言及していることを知った。

*1:私は、「アダムスキー」だの「バミューダ三角水域」だのといった固有名詞を耳にするたびに、ずいぶん以前に読んだ子供向けの本を思い出す。例えば、幽霊や超能力・宇宙人を扱った「いるいないのひみつ」(学研「ひみつシリーズ」の一冊)という本がある。学習漫画に、なぜそのような本が入っていたのか、未だによく分らない。