『南の探検』

曇り。
午後から大学。学術誌の発送をすこしだけ手伝う。
南の探検 (平凡社ライブラリー (570))
昨日読んだ、樽見博『古本通―市場・探索・蔵書の魅力』(平凡社新書)に、「戦前の華族の中には、絶滅鳥ドードーの調査や、有尾人捜索探検に取り組んだ日本生物地理学会の創設者蜂須賀正のような、一種奇特と呼んでよい人が大勢いたのかもしれない」(p.129)という一節があって、これは「蜂須賀正氏(まさうじ)」が正しいのだけれども、それはともかく、この文章に影響を受けて、蜂須賀正氏『南の探検』(平凡社ライブラリー)を読み始めることにした(一日十数頁のペースで)。
先月、約六十年ぶりで復刊された本だ。蜂須賀正氏の祖父は蜂須賀茂韶(母方の祖父はなんと徳川慶喜)で、この茂韶と正氏の父・正韶については、最近読んだ小田部雄次華族―近代日本貴族の虚像と実像』(中公新書)の pp.216-18 で触れられていて、その点においても興味を抱いていたのだった。
また、角川書店編『辞典のはなし』(角川書店)を読んだ。文庫判なのだけれど、表紙の上のほうに「角川文庫」の表示が無く、角川書店のPR誌のようでもある。というのは、当時角川書店が出していた辞典の広告を載せ、その編者に書かせているからだ。例えば貝塚茂樹とか佐伯梅友とか。但し、河盛好蔵とか中野好夫とかも書いている。『新字源』の編者である小川環樹貝塚茂樹湯川秀樹実弟)と西田太一郎も書いている(『新字源』の編者にはもうひとり、赤塚忠がいるが、『辞典のはなし』の執筆者のなかには見当らない)のだが、『辞典のはなし』は、『新字源』の出る数年前に刊行されている。