晴(夕方から雨)。午から大学。
構内のどこかで誰かがトランペットの練習をしていて、書籍部のそばをとおりかかるとよく聞こえてくる。実はそれを聴くのがひそかな愉しみなのである。毎度、聞こえて来る音楽が違っていて、音を探るように演奏しているから、どうやら即興で吹いているみたい。このあいだはフィンランディアだった。今日は、「ロメオとジュリエット」。プロコフィエフやベルリオーズ、グノーのそれじゃなくて、チャイコフスキーの幻想序曲。いちばん盛り上がる第一主題。モンタギュー家とキャピュレット家の抗争シーンだ。夕方は、曲目が、チャイコフスキーの交響曲第五番第四楽章にかわっていた。第一主題の「運命のモティーフ」が高らかに鳴り響く直前。七、八年前、栄養ドリンクのCMに使用されていたことがあった(東山紀之が出ていた)。
西成活裕『渋滞学』(新潮選書)をすこし立読み。生物学からゲーム理論まで包含。ひじょうに面白いが、古本市でつかう金を残しておくためこれは買わず。また、某テレビガイド誌をパラパラみていると、浅香唯のインタヴュー記事が載っていた。「スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇」について語っている(今月からファミリー劇場で放送が開始されたため*1)。第一話で、麻宮サキ(浅香)は九州から東京に出て来るのだが、澁谷スクランブル交差点での印象的なシーンは、なんと望遠で撮られていたという撮影秘話。唐獅子模様の風呂敷に、大袈裟にもほどがある幟。で、「東京っちゃ大きい街やぁ」という台詞。そりゃあ恥ずかしいだろう。
「スケバン刑事Ⅲ」は、十一年前の再放送で観たことがあって、なかなか気に入っていた*2。特に第一話はいまでもよく覚えている。「臨兵闘者皆陳列在前」、いわゆる「九字」*3を切る僧(サキの祖父)が出て来ることや、『姿三四郎』の蓮池シーンを「パロった」問答シーンが出て来ること(姿三四郎のマネというのはずっと後になって分ったのだけれど)。などと書いていると、このあいだ読んだ富田常雄『講道館』を、また読み返してみたくなってきた。夜、『文學界』十月号の特集「黒沢清とは何者か」と、水原明人『江戸語・東京語・標準語』(講談社現代新書)を少し。