最近の収穫など

最近の収穫。小林信彦小林信彦60年代日記』(白夜書房)、尾崎一雄『二月の蜜蜂』(成瀬書房)はいずれも頂き物。そのほか、小沢信男編『犯罪百話 昭和篇』(ちくま文庫)200円、田中貢太郎『日本の怪談』(河出文庫)200円などをワゴンセールで拾った。
日垣隆『すぐに稼げる文章術』(幻冬舎新書)を立読み。終章の「文章で稼ぐための必読33冊」には、ショウペンハウエル『読書について』、自著(『売文生活』『知的ストレッチ入門』)と共に、佐藤優国家の罠』、向井透史『早稲田古本屋日録』、南陀楼綾繁『ナンダロウアヤシゲな日々』、谷沢永一『執筆論』、内田樹『態度が悪くてすみません』、梅田望夫ウェブ進化論』などが見える。それから何故か、中谷彰宏『知的な男は、モテる。』という本まで挙がっている(読んでみないと、なんとも言えないのだが)。
お言葉ですが…〈11〉
文庫オチが心配なので、やはり買ってしまった高島俊男お言葉ですが… 第11巻』(連合出版)を読む。
「イルカは魚類に属さない」(pp.114-20)に、「○する」「○ずる」(○は漢字一字)という別が、どういうばあいに生ずる(この「生ずる」は濁るもの、すなわち後者ですね)のかよく分らない、というようなことが書いてあった。
これは、同書のようにその字音の末尾に注目して「イ」か「ウ」か「ン」かで分けるよりも、その漢字音が三内撥音韻尾(唇内-m、舌内-n、喉内-ng)を有するものかどうか、で分類したほうがよいのではないか。例えば「東国」「西国」「南国」「北国」が、「トーゴク」「サイコク」(もっとも新しくは「サイゴク」)「ナンゴク」「ホッコク」となって「国」の清濁に違いが出るのは、中国の古い字音では「東」が[ng]、「南」が[m]で終るからである(それゆえ後続の「国」が「ゴク」になる)云々、ということは、例えば小松英雄『日本語の音韻』(中央公論社)にも書いてある(p.40)。
これで「生ずる」「論ずる」「免ずる」「講ずる」「散ずる」「命ずる」などの説明もつくわけだが、しかしややこしいのは、それが新しく出来た語であるか否かという指標も必要なので、比較的最近になって生れた表現は、この法則に従わないばあいがしばしばあるということ。