留守番の一日

夜半から風が強い。昼間になっても、ときおり強い風が吹く。
きょうは、家で留守番をしている。なんとなく気分が晴れないので、なにか音楽を聴こうとおもって、サー・サイモン・ラトル*1バーミンガム市響 マーラー交響曲第四番 ト長調』(東芝EMIをかける(四楽章のソプラノはアマンダ・ルークロフト)。大好きな一枚。マーラーにしては小規模で、かつチャーミングな交響曲。鈴とフルートの序奏から曲にひきこまれる。
午前中から、馬伯樂『唐代長安方言考』(中華書局)を読み始めるが、なかなか身が入らない。これは「世界漢学論叢」*2の一冊で、その最新刊。著者の馬伯樂とは、すなわちアンリ・マスペロ(Henri Maspero,1883-1945)のこと。平凡社ライブラリー東洋文庫から道教関係の本が出ていることもあって、むしろ「道教学者」として著名なのではないか。
原著は、“Le dialecte de Tch'ang-ngan sous les T'ang”(1920)。平山久雄「中古漢語の音韻」(『中国文化叢書1 言語』大修館書店所収)によると、北京の抽印(=抜刷り)影印本(1931)があるという。
昼過ぎに、書虫から残りの一冊がとどく。「文史哲博士文叢」*3の一冊だが、具体的な書名は内証にしておく。このシリーズには、もう一冊、手許に置いておきたいものがある。
届いた本を読んでいたら、慣れない中国語で目が疲れてきたので、古今亭志ん生「つるつる」「二階ぞめき」を「読む」。いずれも『志ん生艶ばなし』(ちくま文庫)所収。

なァんだ、定公かァ? 悪いとこで会ったなァ、こりゃァ……。おい、おめえ……なァ、ここで、俺に会ったてえことォ、家ィ帰(けえ)ったら、親父に……黙っててくンねえなァ(「二階ぞめき」より)

おかしいというか、なんだかちょっぴり切ないのだ。
「二階ぞめき」といえば、岡崎武志さんの「『二階ぞめき』古本屋版」*4が、おもしろくてたまらない。

*1:ラトルがナイト・バチュラーの称号を受けたのは1994年のことである。今は亡きゲオルグショルティも「ナイト」だった。

*2:このシリーズには、日本人の著作もおおく含まれている。たとえば松浦友久『李白的客寓意識及其詩思』や中野美代子『西游記的秘密』。

*3:博士学位論文に手を加えたものを書籍化したシリーズであるらしい。

*4:『古本生活読本』(ちくま文庫),p.70-74。