渡された場面

晴れ。
朝から、異體字字典を見ておりましたら*1、例のごとく「ハマッて」しまい、気がつけば一時間半も経っていたのでした。あぶないあぶない*2。拙ブログをご覧になっている方のなかに、「漢字マニア」がいらっしゃるのかどうかは分りませんが*3、漢字に興味のある方はぜひどうぞ(わざわざ申すまでもありませんが、エンコードを中国語繁体字〈Big5〉に設定する必要があります)。
そういえば昨日、先輩であり良き先生でもあるKさんに、呉鋼輯 呉大敏編『唐碑俗字録』(三秦出版社,東方古文化遺存補編)という本が出ていることを教えて頂きました。迂闊にも知らなかった。「東方古文化遺存補編」というシリーズには、ほかにどんな本があるのでしょうか。
渡された場面 (新潮文庫)
午後から、ヴィデオに録画しておいた『渡された場面』のつづきを観ました。昨日寝るまえに、一時間ほど観ていたのです。二十日にテレビ東京系の「水曜ミステリー9」なる枠で放送された番組で、BS JAPAN では地上波よりも三日早く放送されています。この春から始まった新シリーズ…というか、「(水曜)女と愛とミステリー」がリニューアルされたものです。「新・読前読後」(id:kanetaku)のkanetakuさんが、「原作にかなり忠実でなかなか良かった」(四月二十日)とおっしゃっていたので、すぐに観てみる気になりました*4
なるほど、たしかに原作の良さを損ねていません。ラストが少し改変されている*5ことや、携帯電話が小道具として登場すること、それからkanetakuさんもおっしゃっているように、「人物像がそれぞれ深く掘り下げられている」こと以外は手を加えていないので(つまり、大筋や犯人の動機、登場人物は全く変わっていません。犯人がラストでおもわず口走ってしまうセリフも同じ)、安心して観ることができました*6
清張ドラマはよく観ています。最近のものでも、米倉版『黒革の手帖』(テレビ朝日系)や中居版『砂の器』(TBS系)は観ていましたし、「女と愛とミステリー」枠で放送された『黒い画集 紐』(これは「女と愛とミステリー」の四周年企画番組だったかとおもいます)や、月曜ミステリー劇場松本清張・特別企画 殺意』(TBS系。これは初映像化作品だそうです。ラストが衝撃的)なども観ました。
私がもっとも好きな「映像版・清張作品」は『天城越え』で、これは現在までに(たぶん。映画も含めて)三度映像化されていて、いずれも観ました。いつかまた、お話しすることもあろうかとおもいます。

*1:私が漢字マニアから「降りた」のは、異体字とか俗字とかの存在に圧倒されたからでもあります。それらを知らずして、「マニア」とは言うもおこがましい。そうおもったからです。

*2:F田K子をおもい出すのは私だけ? ところで、水沢アキが主演するはずだった映画『あぶないあぶない』は、なぜ立消えになってしまったのでしょうか。もしかして、『顔』がその代りだったとか?

*3:もしいらっしゃったとしても、すでにご存じかも知れません。ところで少し残念なのは、著作権の関係で見られない本もあるということ。見られないというか、ちょっとした手続きが必要なのです。これはまあ仕方のないことなのですが。しかし、ほとんどの古い字書は見ることができるので重宝しております。

*4:清張作品を原作とするドラマや映画は、放送される度に録画することにしていますが、早いものでも、放送後、一箇月ちかく経てから観ています。

*5:ドラマは原作と異なっていて、県警の管轄云々という話柄が出てこないので、香春(三浦友和)が犯人に直接訊問を行うという設定になっており、犯人の「良心」もすこし描かれています。

*6:たとえば『黒の奔流』というドラマの原作は、『種族同盟』という題名で、準主役の被告は男性でしたが、ドラマでは女性。しかもなんと、さとう珠緒。「一事不再理」をモティーフとしていることは変えられていませんが、まったく別なドラマに仕上がっています(しかし、これはこれで面白く観ました。さとう珠緒がおもったよりも悪くはなかったので)。最近のドラマでは、このくらいの改変がなされることも珍しくありません。