茶目子の一日

晴れ。今日はどこへも行かず。演習準備と、そして読書(主に論文)の一日でした。
そういえば朝、西倉喜代治作『茶目子の一日』(1931,協力映画製作社)を観ました。これは、昭和四年の平井英子版をアニメーション化したものです。この歌や映画については、こことかこことかをご参照下さい。上映時間はたったの約六分です。かつて、よみうりテレビ「水曜亜細亜電影」の『幻の活動大写真(第三集)』という特集内で放送されたもの*1で、現在これはVHSヴィデオ化されています(全六巻,プラネット映画資料図書館)。
なぜまた、あらためて観る気になったのかというと、「kuzanの日記」や、「acidMansoの日記」に触発されたからです。この作品は、トーキー前段階のいわゆる「レコード・トーキー」映画で、スタートマークに合わせてSPレコードをかけると、音楽と映像とがシンクロするというもの。acidMansoさんが書いておられるように、「擬似トーキー」とでも呼ぶべき作品です。一時期、流行した手法なのだとか。
やはり、(昭和期の)古賀春江杉浦茂テイストの世界にひき込まれました。メリエスの『月世界旅行』を髣髴とさせるようなカットもあります。それから、茶目子が母親に「活動へ連れてつて頂戴な」と言うシーンでは、なぜか在りし日の人見絹枝*2の映像(走り幅跳びのシーン)が出てきます。茶目子はニュース映画が観たかったのか。しかし結果的にはチャンバラ映画を観る、という設定になっています*3
夜、本棚を整理していたら、安倍基雄『思わず漢字が好きになる「28のとっておきの話」』(プレジデント社)が出てきました。月刊誌「自治レポート」に連載されていた「漢字随筆」をまとめたものです。字源についても書いてありますが、なるべくたくさんの字源説を紹介していこうというスタンスです。また、「メ」でふれようとおもいます。
ちなみに、著者の安倍氏は昨年の一月二十三日に他界されています。

*1:「幻の活動大写真」枠で放送されたアニメーションには、『ちんころ平平玉手箱』『證城寺の狸囃子 塙團右衛門』など、杉浦茂ばりのシュールレアリスティックな作風のものが多いのですが、当時の流行だったのでしょうか。

*2:劇中の字幕では、「故・人見絹枝嬢」となっています。当時は、亡くなってからまだ一年も経っていません。

*3:大正八年の木村時子版は、チャップリン映画を観る、という設定になっているのだそうです。上に挙げたサイトに書いてありました。ちなみに本映画では、チャップリン映画の宣伝カーらしきものがちらとだけ映ります。