昼から大学。雨降って、道悪し。どこまで続くぬかるみぞ。
泥がはねて、ズボンが汚れた。
べつにどうでもよいのだが、きのう買った『ミーツ・リージョナル』特集記事の名が、ほぼ「。」で終わっていることが気になった。「本屋巡りは『わっしょれ〜』。」、「書店マニア。」、「憧れの? 本屋ライフ。」「京阪神 古本道場。」など。句点を附けることが、そんなに流行っているのだろうか。
何がしかの効果を狙って、「。」を附けたものとしては、糸井重里氏の「おいしい生活。」(1982)あたりが最初なのかと思っていた。が、どうやらそうではないらしいことを、飯間浩明『遊ぶ日本語 不思議な日本語』(岩波アクティブ新書)で知った。
「。」のもつ、語りかけるような効果は、早くから広告業界で注目されてきました。土屋信一氏の研究*1によると、一九七〇年代には広告のコピーに「、」や「。」がついている割合は五〇パーセントほどだったのが、一九八〇年代末には七〇パーセント程度に増えているということです。
糸井重里氏の「おいしい生活。」や「不思議、大好き。」などのコピーが評判になったのもちょうど一九八〇年代初頭でした。道浦俊彦氏は、ホームページ「平成ことば事情」*2の中で、このあたりを「モーニング娘。」の「原型」としています。(p.121-22)
つまり「おいしい生活。」は、業界に句点つきのコピーを広めるきっかけを作ったに過ぎない、ということになる。そういえば、岩松研吉郎氏も、「。」がもたらす効果についてこう書いていた*3。
「。」は、キャッチコピーというごく短い文章にメリハリをつけ、言いっぱなしのものよりもキッパリと、洗練されたイメージになります。その分力強く見る側に訴えかけてくるという効果があります。
ただし、現在のようにこの手法が氾濫してしまうと、その効果もあまり期待できないかもしれません。
(『日本語の化学変化』パンドラ新書,p.70)