ミーツ・リージョナル

大学へ行こうかとも思ったが、散髪に行く。
帰途Kで、id:samsa01さんのブログで知った『ミーツ・リージョナル』11月号を買う。今さら言うまでもないかもしれないが、「街の人はみな本好きだった。」という、「本と書店」の特集が組んである。「京阪神 古本道場。」、「憧れの本屋ライフ。」など。
「街人の『イマヨミ』読本。」というレポートもあって、48人の「街人」たちが「今、読んでいる本」を三冊(または二冊)ずつ紹介している。一人めの内田樹氏は、白川静孔子伝』、勝海舟『氷川清話』、森銑三『明治人物閑話』を挙げている。
このうち『明治人物閑話』は今夏読了したばかりで、本ブログでも少しだけ触れた。
孔子伝』は、中公叢書版を二度読んだ。再読のきっかけを与えてくれたのは呉智英氏で、読後感がずいぶん変わったことを思い出す。
『氷川清話』は、角川文庫版の『氷川清話 付勝海舟伝』(勝部真長編)で読んだ。これは高校時代の愛読書のひとつで、今でもたまに取出して好きなところを読む。
ちょうど、本棚の目立つところに置いていたので、開いてみる。圧巻は、古今の人物について述べたくだりであると思うのだが、たとえば次のような箇所も印象に残っている。

俳諧といえば、其角堂や夜雪庵などが、おれの所へ来るから、おれもちょっとやってみる気になり、幾つも作ったが、ここに一つおれの得意の句がある。それは、
 時 鳥 不 如 帰 遂 に 蜀 魂
ほととぎすほととぎすついにほととぎす。人生すべてかくのごとしさ。少壮のときには、時流に従うて、政党とか、演説とか、選挙とか、辞職とか、騒ぎたてるが、これは、すなわち時鳥だ。
しかし、これも一時で、天下の事、意のごとくならず、やみぬるかな、やみぬるかな、むしろ故山に帰りて田地でも耕すがましだと、不平やら失望やら、これが中年から初老の間で、いわゆる、不如帰だ。
しかしてかれこれするうちには年が寄って、もう蜀魂だ。つまり十七文字の間に、人生を一括したのさ。
(p.214-15)

勝小吉の『夢酔独言』、実はまだ読んでいない。そろそろ読まなければと思った。