またまた「濡れ髪」

午後から大学へ。研究室で、新品同様の『國文學』を四冊も頂く。有難し。
今月の復刊本、小松茂美『かな―その成立と変遷―』(岩波新書)を読む(買ったのは昨日)。青版。『手紙の歴史』は持っていたが、『かな』は未入手だった。
Mさんと帰る。帰途、『谷崎潤一郎=渡辺千萬子 往復書簡』(中公文庫)を購う。他にもあれこれと立読みしていて、Sさんに教えて頂いた寺田寅彦「物売りの声」が『東京百話 天の巻』(ちくま文庫)に収めてあることを知る。帰宅後、青空文庫で読む。
夜、森一生『濡れ髪喧嘩旅』(1960,大映)鑑賞。これで、「濡れ髪」シリーズ四本目である。市川雷蔵川崎敬三の初顔合わせ。この二人が実にいい*1山田五十鈴も出ている。まあ順当な人選である。仁木多鶴子も割と重要な役で出ている。仁木多鶴子は、もと「鶴田和子」と云ったのだが、『猫は知っていた』で確か初めて主役を張り、原作者の仁木悦子からその姓を貰ったのだ。
今回は、後半に「お涙頂戴」的な要素があって、やや拍子抜けするものの、それが決して「浮いて」いないのは、八尋不二の手腕に拠るところが大きいといえるか。
また、今回のゲストはスリー・キャッツ。劇中では、「黄色いサクランボ」等を歌っている。オリジナルは知らなかった。ゴールデンハーフのカヴァーでしか聴いたことがなかった。
そうそう、この映画には、「すまじきものは宮仕え」も出てきたのだった(くうざん本を見る参照)。下級役人の川崎敬三(遠山金八郎)が、ぽつりと呟くのである。
築島裕『国語の歴史』(UP選書)で、吉澤義則『國語史概説』(立命館大學出版部)を再評価している箇所を読み、改めて吉澤氏の本を手に取る。函から抜けない。隣にあった別の本に興味が移る。そのうち夜が更ける。『概説』は明日読もう。

*1:「楽屋落ち」もある。