鈴木清順『殺しの烙印』(1967,日活)再見。N氏が最近観た、といっていたので。もちろん、「墨塗り」ではない完全版である。
初期の「ルパン三世」を想起する人もあろう。ブニュエルの『アンダルシアの犬』を模倣したカット(また、レマルク原作、マイルストーン監督の『西部戦線異状なし』も引用*1したのかもしれないし、もしかするとドライヤーの『裁かるゝジャンヌ』も参照したのかもしれない、などと思ってみたりもした)や、新聞記事や広告を用いた意味不明のブリコラージュあり。「ライター(lighter)」への固執。また、宍戸錠が風船で遊び始めるシーンは、長谷川和彦の『太陽を盗んだ男』に引用*2されている(ものと思われる)。
なお内容についていえば、切通理作が『千と千尋の神隠し』を評した如く、「この作品は物語をあらかじめ放棄している」とでも言いたくなってくるほど分らない。二度観て、ますますその意をつよくした。まあ「幻のナンバーワン」は誰のことだかスグに分ってしまう(もちろん鈴木の思わくだろう)のだが、中盤あたりの展開がよく分らない。分ろうとしないほうがいいのかもしれない。