貸本屋の昨今

晴れ。
書類提出のため、朝から大学へ。午後演習。
SFさんに、明治後期の『東京朝日新聞』の縮刷版を見せて頂いた。「貸本屋の昨今」という連載記事をおもしろく読む。例えば次のようなくだりに反応。「婦人向きには己が罪、乳兄弟、伯爵夫人、不如歸、良人の自白等が重(おも)なもので近來單行小説本の新刊は充棟も啻ならぬ有樣であるが名の知れぬ者の書いた物は振向いても見ないから、貸本屋でも斯樣(こん)なのは脊負(しょ)ひ込まぬさうな」(M40.10.4)。「弦齋ものゝ讀者は近來殆んど絶無といふべき状況(ありさま)だが天外の「コブシ」新渡戸氏の「隨想録」は最も多くの讀者を有して居る。一家を構へたもの殊に婦人向には幽芳も相應に讀者を有して居るが女學生などは一向に借らぬやうである。紅葉、露伴その他硯友社一派の書いたものは相變らず讀者を繋いで居る」(M40.10.8)。
中島義道『後悔と自責の哲学』(河出書房新社)を買う。