木山捷平、上林暁

晴れ。
朝、ベルリン・フィル&ピエール・フルニエ(チェロ)『ドヴォルザーク チェロ協奏曲ロ短調/エルガー チェロ協奏曲ホ短調』(ドイツグラモフォン)を聴く。指揮は、セルとウォーレンスタイン。お気に入りの一枚である。
井伏鱒二文集〈1〉思い出の人々 (ちくま文庫)
夜、寝床で、木山捷平『大陸の細道』を読み始める。
集英社版日本文学全集『上林暁木山捷平集』に収めてあるものだ。毎日読むというわけにもいかないので、これも多分、相当な「遅読本」となるのだろう。『大陸の細道』は再読なのだが、『長春五馬路』(講談社文芸文庫)を読むための準備なのである。一応。
冒頭近く、「木川正介」と上林暁の将棋を指すシーンが回想形式で語られている。たしか『井伏鱒二文集1 思い出の人々』(ちくま文庫)の「上林暁氏のこと」という文章だったと思うが(確かめるのが面倒だ)、井伏鱒二と将棋をさす上林暁が描かれている。
余談にわたるが、『井伏鱒二文集』には、「木山君の神経質」「小沼君の将棋」とかいう小文も収めてあった。「小沼君の将棋」に、「将棋敵という語は辞書を見ると将棋のよい相手とあるが」云々(引用は不正確)とあって、その辞書は何かということを調べようとしたが分らなかったことがある(『言海』とか『廣辭林』とかにはない。『言海』には、「かたき」の項に「棊ノ敵」という表現はあるが「将棋敵」はない)。ともあれ、原門会や阿佐ヶ谷(将棋)会の文士たちというのは、なかなか興味ふかいテーマである。
それにしても、何かと忙しい一日だった。