最近、煙草や喫煙に関するコラム集やエッセイが色々出ている。たとえば、昨年亡くなったカブレラ・インファンテの大著を若島正さんが訳した『煙に巻かれて』(青土社)だの、幻戯書房から出た野坂昭如編『けむりの居場所』だの(これらは、書籍部でパラパラと見ただけ。後者は、かねたくさんの「新・読前読後」に書評が載っている)がある。
今日のお供本は、祥伝社新書編集部『グレート・スモーカー―歴史を変えた愛煙家たち』(祥伝社新書)で、これもやはり、煙草に関する、というか、愛煙家に関する文集なのである。取上げられる愛煙家たちの顔ぶれが素晴らしいし(漱石、芥川、鴎外、寅彦、夢声、安吾、團伊玖磨、小津安二郎、市川崑、チャーチル、カストロ、ケネディ、五代目志ん生、露伴、一葉、石川欣一等々*1)、彼らが主に切手で紹介されているというセンスもいい(もと切手収集家の私としては*2。「切手大国」シエラレオネ、久々に聞いたぞ)。
私自身は、ずっと以前に、ある理由から煙草をのんでいたことがあって――といってもふかすばかり――、今でも、ごくたまに(すすめられたりなどして)のむ。だが、美味いと思ったためしがない。そのていどなので、煙草に「魅入られた」人たちを実は羨ましく思ったりもする。