花袋の回想記

田山花袋『東京の三十年』(岩波文庫)再読。「私たちは歌の百首よみなぞをした。O、I、Tなどという人々が段々そのグルウプの中にいた。柳田国男君がまだ十四、五で、非常な秀才で、丁度その時下谷御徒町の兄の井上通泰氏の許にいたが、そこをSと私とが訪れて行って、同じグルウプの一人にした」(p.36)……と、これだ。これが記憶にあったのだ。
花袋がこの本のなかで、しばしば硯友社に言及していたこともすっかり忘れていた。