頂き本と気になる歌のこと

このあいだ『小津安二郎作品集』を下さった方(父の知人)から、今度は戸板康二『午後六時十五分』(三月書房)を頂いた。それも「五十部限定特装本」で、シリアルナンバー・署名・識語入なのである。本当に良いのだろうか。『午後六時十五分』は見たことのない随筆集だったが(藤田加奈子さんによる戸板康二著作目録で少なくとも一度は目にしているはずなのだが)、特に後半、交遊録の部分が素的だ。土岐善麿、小山祐士、池田弥三郎山口瞳越路吹雪木々高太郎三島由紀夫三島雅夫江戸川乱歩長谷川伸菊田一夫、内田百ケンなどが出て来る。
アダム・カバット『ももんがあ対見越入道 江戸の化物たち』(講談社)、長山靖生編『明治・大正・昭和 日米架空戦記集成』(中公文庫)を読む。後者は部分再読。本当は、今月文庫で出た長山靖生『日米相互誤解史』(中公文庫)のほうを読むはずだったのだが、なんとなく海野十三「防空小説 空行かば」や阿武天風「日米戦争夢物語」あたりを読み返してみたくなったので。
ところで最近、二十年ほど前に見ていた「ひらけ!ポンキッキ」のなかで流れていた曲を(断片的ではあったが)思い出し、口遊んでいるうちに、耳にこびりついて離れなくなってしまった。「グラタン・パパイヤ・チョコレート」「はてさてどっちが勝つのやら」「何を出そうかムズムズムズ」等、憶えているかぎりの歌詞を検索にかけてみると曲名が分った。「ジャンケン・パラダイス」というのだそうだ。よねやまひできのブログに動画が置いてあった(要Windows Media Player)。なんと、「作曲・編曲・うた 本間勇輔」とあるではないか。古畑任三郎だッ。
動画を見ていて思い出した。少女とジャンケンする異形の怪人たちが怖かったことを。「もしも負けたら食われてしまうのだろうか」と考えていたことを。それと、これはいま見直していてわかったのだが、「負けたら巨大化」という戦隊モノの鉄則を踏まえていたわけですね。
そういえば「ひらけ!ポンキッキ」には、「回文21面相」とかいう曲も流れていた(これも八十年代だったと思う)。「竹やぶ焼けた」「わたし負けましたわ」「ダンスがすんだ」「イカ食べたかい」「イエイ」など、単純でよく知られた回文の連続なのだが、「回文」というコトバ自体は、多分その曲で知ったのではないかと思う。