朝日字体が消える?

朝日新聞」の字体が一部、変るのだそうだ(朝刊の第十二面)。表外漢字のうちのいわゆる「朝日字体」を「康煕字典体」に(約900字がその対象)、ということで、これはつまり七年前(!)の「表外漢字字体表」(国語審議会答申)に随った結果である。
「Mac OS Xの文字コード問題に関するメモ」に関連するエントリがあるが、九日の記事には全く気がつかなかった。今朝の紙面では、「迂」「謎」等に含まれるしんにょうは二点、「辻」は例外として一点しんにょうのまま、という例が挙げられていた(実は「謎」や「辻」は、「朝日新聞」ではようやく五年前から「読みがな無し」で使われ始めたばかりなのである。2002.3.14付の記事参照。また、しんにょうは、「表外漢字字体表」では「簡易慣用字体」が包括的に適用される対象なのであった。つまり一点しんにょうも例外として認めている*1)。
それから、近々(二年後か三年後?)答申されることになるかもしれない「新常用漢字表」(仮称)との関わりも一体どうなるか(これはいずれ告示・訓令に移されるであろうから)、興味のわくところだ。人名用漢字(所轄は法務省)も検討される予定だそうだし。
その他。例えば、同一記事内でも未だにゆれのある「康熙字典体」「康煕字典体」(例:『讀賣新聞』2000.9.30付)などのような「熙」と「煕」とはどちらに統一するのか分らない。
「鴎」→「鷗」、「辻」→一点しんにょうのまま、とすると、表外字体表の試案で許容されていた「蒋」「曽」等の扱いはどうなるのか。因みに、「朝日新聞紙面字体頻度表」(『現代日本異体字[漢字環境学序説]』三省堂2003,pp.116-122)では、「鷗」「鴎」の字体分岐は報告されているが、「蒋」の字体分岐は見られないという(しかも「蒋」は人名に使用される場合が殆どであろう)。

*1:そのほか、「食」偏と「示」偏の漢字がひとしなみに適用対象となっている。