贈物と、良い音楽と。

ハイドン:ロプコヴィッツ四重奏曲
こないだ、ブルックナーの第七番がEMIの廉価盤に二種入っていると書いたが、あれはマチガイで、「CREST1000」だった。マタチッチ&チェコ・フィルと、ブロムシュテットドレスデン・シュターツカペレの二種である(いや、EMIの1300円シリーズにもヨッフムのが確か入っていたと思うのだが……)。
「CREST1000」は、最新の第六シリーズ(昨年末に出た)にも気になるのが入っていて、しかも某店では800円で売ってくれるから、つい買ってしまったのである。クイケン四重奏団ハイドン《ロプコヴィッツ四重奏曲 第一・二番》他』。弦楽四重奏曲としてはハイドン最晩年のもので、憂愁をたたえたメロディ、というのが通念なのであるが、この盤はそういう通念というか固定観念を見事なまでに粉砕してくれる。まず第81番第一楽章冒頭は、音が跳ねているというか、明るすぎてむしろ大丈夫なのか、という心配を起させるほどなのだけれども*1、展開部や第五十一小節に至って、それが杞憂であったことを知るのだ。よくまとまった一枚。
夕方、突然某さんから小包が届く。何だろう、と思って開けてみると、本やヴィデオテープのプレゼントだった。多分、Sさんが話してくださったのだろう。
ことば関係の本(講談社現代新書四冊)以外に、ユリイカ二冊、それに、柴田天馬訳の『ザ・聊斎志異』(第三書館)まで附けてくださるという粋なはからい(もしや聊斎癖のあのお方は……)。ヴィデオというのは、『ある映画監督の生涯』。これは、日本映画専門チャンネルでずっと以前に録画したはずなのだが、所在不明で困っていたところなのでした。いたみいります。
また、素的な手紙も添えられていた。某さんに向けて書いた拙文に反応してくださっていて、感動する。最近、人の好意がすごく嬉しくて、身に沁みて感じる。私も徳を積みたいものだが、そんなガラではない。
夜、マキノ正博『鴛鴦歌合戦』(1939,日活京都)再見。これが一週間程度で撮られた作品だなんて、とても思えない。今回は、(主人公)志村喬ではなく、ディック・ミネのほうに注目しながら観た(そうか、来年で生誕百年なのか)。志村喬の歌が玄人はだしの腕前であることは全く憶えていなかった(憶えてたのはメロディだけ。だって、『生きる』の「ゴンドラの唄」のイメージが強烈なんだもの)。

*1:C.M.の「ブラームス第一番」みたような展開になるのではないかと、ちょっと怖くなる。もっとも、「レコ藝特選」盤だから、その点なら安心して良いのだろうが。