最近の収穫

 秦豊吉『わが粋筆』(美和書院)350円。「小序」に、ペンネーム「丸木砂土」の由来について書いてある。秦といえば、徳川夢声『いろは交友録』(ネット武蔵野)に収められているし、池内紀『二列目の人生―隠れた異才たち』(集英社文庫晶文社)にも登場する(「秦 豊吉 鷗外の双曲線」)。
 太田文平『寺田寅彦の生涯』(四季新書)400円。
 川内康範『恋しても愛さない』(東京文芸社献呈署名入。約170円(三冊500円)。宛名は、ググってみると、川内氏と共同で仕事をされた方の名前が一件ヒットするが、この方だという確証もないので、隠しておく。

 奥野高広・岩沢愿彦校注『信長公記』(角川文庫)600円。午飯代のつもりで持って来た金で購った。金子拓『織田信長という歴史―『信長記』の彼方へ』(勉誠出版)の「あとがき」によると、金子さんは、この本を「絶版になるかもという強迫観念から」たまたま購入されたのだという。今や古本でもあまり見かけないので、もちろん即購入。三箇月まえに読了した金子さんの本をふたたび繙きながら、「つまみ読み」している。

    • -

 新刊では、鈴木邦男鈴木邦男の読書術―言論派「右」翼の原点』(彩流社)などを読んでいる。「第4章 行動派のための読書術」には、「メシは食わなくとも本は読む」など、共感してしまう記述が多々あった。
 しかし、それにしても、最近は「出版洪水」のなかで編集者が校正を兼務している出版社も多いと聞くが、大丈夫なのだろうか。たとえばこの本、「第5章 何を読んだか」で書名が列挙してあるところは、とりわけ誤記が多い。藤茂太(p.296)、竹内洋『学問の下流化』(中公新書)(p.309)、中島岳志朝日平吾の鬱屈』(ちくま書房)(p.310)*1藤孝(p.310)、赤木智弘『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新)(p.311)、野島博之『謎とき日本近現代史』(降誕社現代新書)(p.313)、佐竹昭広酒呑童子異聞』(岩波書店)(p.315)*2松岡正剛『多読術』(ちくま新書)(p.315)*3、……。ざっと目をとおしただけで、これだけ見つかる。

鈴木邦男の読書術―言論派「右」翼の原点

鈴木邦男の読書術―言論派「右」翼の原点

*1:細かいことを言うようだが、出版社としては「筑摩書房」と漢字表記すべきだろう。文庫名は「ちくま文庫」「ちくま学芸文庫」。

*2:「の」は不要。

*3:これも細かいが、「ちくま新書」ではなく「ちくまプリマー新書」だ。