堀切直人『本との出会い、人との遭遇』(右文書院)
2004.10.25発行。「週刊読書人」に連載された「本のハンター・ギャザラー」と、それとほぼ同量の書下ろしを収めた本です。文体は、つねに上品なたたずまいを失うことはありませんが、不意に他人への厳しいまなざしが感じられるときがあります。しかし堀切氏は、「時代」をつねに、客観的かつ冷静に見ています。ですから、「六十年代」を振り返るときに、この世代にありがちな感傷にひたることはありません(むしろ、もっと旧い世代の人なのではないか、とさえ感じられます)。
またこの本には、坪内祐三、石井隆、唐十郎、種村季弘、佐藤重臣、島尾敏雄、埴谷雄高、澁澤龍彦、武田百合子、浅羽通明、色川武大、山口昌男、海野弘など、名だたる文化人たちが多数登場します。こうして書いているだけでも、溜息が出ます。
そういう意味で、堀切氏の交友関係を知るにはもってこいの本ですが、堀切氏自身の「半生記」としても読めます。