ワゴンセール

晴れ。夜から冷たい風が吹く。
昼前に梅田へ。「梅八」で腹ごしらえをしてから、古書のまちのワゴンセールに行ってきました。
以下の十三冊を購入しました。ほとんどが一冊二百円。三百円のものもあります。

  • 橋本進吉『國語音韻の研究』(岩波書店,1950)
  • 吉澤義則『國語史概説』(立命館大學出版部,1931)
  • 東條操『方言と方言學』(春陽選書,1944)
  • 木枝増一『國語の道』(出來島書店,1942)
  • 佐伯梅友『國語史要』(武藏野書院,1949)
  • 奥里將建『四國の方言』(三省堂,1943)
  • 築島裕『古代日本語発掘―古点本の謎をさぐる―』(學生社,1970)
  • 吉田金彦『古代日本語をさぐる』(角川選書,1979)
  • 金田一春彦編『ことばの魔術』(講談社,1978)
  • 『言語』95・11別冊『変容する日本の方言』(大修館書店)
  • 江浪常吉『蒸汽機關』(博文館工業叢書,1905)
  • 井上誠『珈琲記』(ジープ社,1950)
  • 斎藤緑雨 中野三敏編『緑雨警語』(冨山房百科文庫,1991)

『蒸汽機關』の「汽」字について。この本、表紙と扉は、なぜかサンズイに「氣」となっています(本文では全て「汽」)。『諸橋大漢和』は、この字を「俗に、汽車の汽と混用する」と説明して、日本での俗用と見なしています。しかし、『中華字海』には、第一義として「同“汽”」が挙がっており、むしろ、本義の「水名」(川の名)や「鹽池」として使用するほうが珍しいことがうかがえます。これは、いわゆる「類推繁体字」の類なのでしょうか。
また、石井研堂の『明治事物起原(5)』(ちくま学芸文庫)には、「〔サンズイ+氣〕の字は説文に見えたれば、新製の字にはあらず、福沢全集緒言中に、福沢氏始めて〔サンズイ+氣〕の字を用ひたりとありし」(p.253,ママ)との指摘が見えます。「蒸汽車」「蒸気機関」などの語には、「汽(〔サンズイ+氣〕)」と「氣(気)」のどちらがよく使われていたのか、という問題が気になるところです*1
『珈琲記』は、私がコーヒー好きだからという理由もあるのですが、「『コーヒー』の假名書由來」「『コーヒー』の語源とその轉化」という章が気になったので購入しました。序文をかいているのが、新居格。たしか、「モガ(モダンガール)」「モボ(モダンボーイ)」の名づけ親と言われている人ですね。
これを記していておもい出したのですが、『月刊 言語』(1981.11)を買いそびれていた…。特集がたしか「漢字の常識」で、後で買おうと思っていたのですが、スッカリ忘れていました。
帰宅したのは四時。
先輩のTさんに誘われて、「S君お疲れさま会」へ。午後六時半より開始。周囲は学科の違う人ばかりでしたが、興味ふかい話を沢山うかがうことができました。散会は十時半頃。
誘って下さったTさんに多謝。私を構って下さった皆様に深謝。
話はかわりますが、未読王購書日記がブログになって帰ってきたことを、きょう知りました。

*1:明治事物起原』では、「ジョウキシャ」の表記が不統一で、「蒸気車」になっていたり「蒸汽車」になっていたりします。『日国』も、この二通りの表記を挙げています。「蒸気-車」なのか、「蒸-汽車」なのか。後者は字義が重複しているのではないか。