妖怪画

午前中、投票所へ。その附近で午食。
レジュメづくり、読書。
このあいだ、正宗白鳥「リー兄さん」を読んだところなので、今日は「塵埃」と「妖怪画」を読む。「妖怪画」が特に面白い。正宗白鳥のことはよく知らなかったので、「正宗さんのこと」(『井伏鱒二文集Ⅰ 思い出の人々』ちくま文庫所収)を読んだ。正宗の没後まもなく発表されたものである。「いきなり結論を出す人」(p.249)というのが、井伏がうけた正宗の印象であるらしい。「閑谷黌」のこともすこし出てくる。
また、小林秀雄正宗白鳥の作について」(1981)という未完の正宗白鳥論は長いので読まず、その四十九年前に小林が書いた「正宗白鳥」を読む。小林は、正宗白鳥の近作短篇は精彩を缺いているが、それこそ実は「強い個性が再び醸し出さねばならない様になつて来た一層深い氏の誤差の表現」である、と書いている。「誤差の表現」とはすなわち、「強烈な主観と客観的描写への努力との間に」生ずる誤差のことで、それを体現したものが初期の「泥人形」であった、という。そして、「髑髏と酒場」「悦しがらせる」を一定評価し、「一層沈痛素朴な氏の傑作があらはれる日の遠からざるを思つたのであつた」と結んでいる。
夜、選挙速報をちらちらと見る。テレビ朝日の情報がいちばん速い。やはり自民大勝。報道を見ていて、故・大平正芳の「弔い合戦」となった、〈衆参ダブル選挙〉での「自民圧勝」後の輿論が気になったりした。
ところで、いつも困るのは、選挙後の街にポスターが打ち捨てられているということだ。選挙活動はおおいに結構なのだけれども、当選/落選後も掲示板にポスターを「貼りっぱなし」にしておくことだけはやめてほしい。さっさと片付けて頂きたい。風雨にさらされて、ひどいことになってしまっているものをしばしば見かける。
議員にしても、公約の「言いっぱなし」はやめて欲しいものである。