ブックオフで『鬼の詩』を

昼から大学。ブックオフに寄る。
出久根達郎『無明の蝶』(講談社文庫)、岸惠子『30年の物語』(講談社文庫)、奈良本辰也『叛骨の士道』(中公文庫)、藤本義一『鬼の詩』(講談社文庫)など買う。すべて105円。
直木賞受賞作『鬼の詩』については、かつてATGの映画(村野鐵太郎監督)を観たことがあり、原作も読みたいと思っていた。京都の納涼古本まつりで原作本を買い逃してから後悔していたのだが、今日やっと見つけた。
映画で「桂馬喬」を演じているのは桂福團治*1笑福亭松鶴(六代目)と原作者の藤本義一も特別出演しており、冒頭で対談をしている。静止画をつないだもので、十分ほどの長さであったように記憶している。
映画の前半部では、桂福團治と片桐夕子が門附しながら雪のなかを歩くシーンが印象的であった。後半部はまさに凄絶のひとことに尽きる。「藝」にかける馬喬の「狂気」が身震いするほど恐ろしい。だが、それが作品を牽引する力にもなっている。「狂気こそが理性と創造の源泉であり、狂気の歴史は、その民族の創造的な活力の消長を示すものであった」(白川静「狂字論」)という一節を想起させる。
論文の題目をきめる。幾つか候補があるにはあったが、けっきょく無難なタイトルに落着かせた。

*1:藤本義一の推薦があったようだ。