註釈の義で用いる「註」、「注」の用字の問題については、ここにも書いたが、円城塔さんの『烏有此譚』(講談社)の脚注部(この部分は書下しだそうだ)でも触れられていた。
 また、最近入手した近藤杢『支那學藝大辭彙』(立命館出版部,1943)に「自注」の項あり、「自己の著作に注を施すをいふ。(中略)「注」の條を見よ」(p.440)と書いているが、「注」の條は見当らず。ただし「註」の項に次のようにあった。

本文を解説して其義を疏通せしむるものをいふ。もと多く言扁に作りしが、清朝に至り多く「注」に作れり。段玉裁の説に「漢唐宋人の經注の字、註に作る者あることなし。明人始めて註となす。大に古義に非ず。注すとは之を引きて適く所あらしむることなるが故に、經を解きて其義を明すを注といふなり。たゞ註記の字は言扁に作る。シルスの義にて注釋とは異なり」と。(p.838)

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 「霧の旗 クラシック」「霧の旗 大塚弁護士が聴いていた曲」「霧の旗 使用曲」等々という検索ワードで、こちらに来られている方がたくさんいらっしゃるようです。たぶん、日テレでやっていた海老蔵版、というか相武紗季版「霧の旗」の劇中使用曲をお知りになりたい、ということなのでしょう。
 私のおぼえている限りでいうと、あれは、モーツァルト「レクイエム ニ短調」(K.626)の「続誦 怒りの日(ディエス・イレ)」(第3曲)、および「涙の日(ラクリモーサ)」(第8曲)の二曲です。すこしでもお役に立てれば、嬉しいのですが。

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 「霧の旗」は、倍賞千恵子版、山口百恵版、若村麻由美版、星野真里版などいろいろ見てきたが*1NHKドラマ(五回完結)の植木まり子のほとんど瞬きしない目は怖かった。なんと、これがデビュー作だというのだから驚く。大塚弁護士を森雅之が好演していて、これがまたいい。
 原作を再読したときの感想は、ここに少し書いておいた。

*1:広瀬みさ版、栗原小巻版、大竹しのぶ版は未見、コマキストなのに! そのほか、安田成美版などもあるらしい。知らなんだ。