鳩が飛んだ日

『鳩』(1952,松竹)

監督:野村芳太郎、製作:山本武、脚本:中山隆三、撮影:赤松隆司、主な配役:石浜朗(三浦勇)、有島一郎(父俊一)、美山悦子(姉秋子)、草香田鶴子(祖母とよ)、磯貝元男(友田一郎)、北龍二(父宗吉)、水木涼子(母千代子)、小園蓉子(榎本綾子)。
記念すべき、野村芳太郎(野村芳亭の息子)監督デビュー作品です(赤松隆司のデビュー作でもあります)。野村監督は、七十年代に大作映画を連発した人。社会派から時代劇、そして喜劇にいたるまで―を器用にさばいた職人肌の監督です。
また製作担当の山本武は、『麦秋』(1951)とか『幕末太陽傳』(1957)とかの名作をたくさん手がけた人です。主演の石浜朗は、『不連続殺人事件』(1977,ATG)の「木兵衛」を演じた人みたいですが、あまり覚えていません。その石浜演ずる三浦勇君(高校生)の、責任感ある行動―というよりも、現実にはありそうもない行動―をえがいた佳品です。しかし、これが実話だというのだからすごい。
かつて、「伝書鳩」が高校生たちの話題を独占した時代があった。そういう、ふるき良き時代を懐古するためにも、うってつけの作品だといえましょう。