2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

宗教は偶像を要求する。それは人間の弱点である。的確に物を掴まなければ、大方の人は安心しない。 仏像、聖画、讃美歌、祈祷、ことごとくある意味の偶像なのである。 そうしてほとんど例外なしに、教祖その人は偶像なのである。 教祖に対する信者の情緒は、…

ぼくもあなたも名探偵

串間努『少年探偵手帳 完全復刻版』(光文社文庫) 1999.6.20初版1刷。 串間努さん。本書の著者プロフィールには、 学童文化研究家、商品文化年表家。スーパー店員、バス車掌を経て、医療業界誌編集者に。かたわら、昭和B級文化の記録を思い立ち、雑誌「日…

若尾文子、最後のマスムラ映画

『千羽鶴』(1969,大映東京) 監督:増村保造、製作:永田雅一、脚本:新藤兼人、企画:藤井浩明、原作:川端康成、撮影:小林節雄、音楽:林光、主な配役:平幹二朗(三谷菊治)、若尾文子(太田夫人)、梓英子(太田文子)、京マチ子(栗本ちか子)、南美…

「ちぇっ、古いなあおッ母さん、やんなっちゃうなあ」(北川幸一) 「古くったってね、人間にかわりはないよ。おんなじだよ」(北川しげ) 小津安二郎『早春』(1956,松竹大船)より。

うらやましい環境

【驚いたこと】 『週刊新潮』(3月17日号)をパラパラと見ていたら、「結婚」欄に目がくぎづけになりました。宮台真司さんと、佐伯胖さん(!)の息女・由美子さん(綺麗な方です)が結婚したとか(私が知らなかっただけ?)。宮台氏が「結婚」したとなれば…

とにかく、わからないことだらけです。わからないことだらけで、結局私も、近々死んでしまいます。それでいいのだ、と思います。 古山高麗雄*1『人生、しょせん運不運』(2004)より。 *1:2002(平成十四)年3月逝去。享年八十一。この『人生、しょせん運不…

気になる新刊エトセトラ

今日は急な予定変更があったので、楽しみにしていた研究発表会にも行けず、かてて加えて、立寄るつもりだった新本屋にも寄れませんでした。 森銑三『新編 物いう小箱』(講談社文芸文庫)その他、気になる新刊がいくつかあったのに…。そういや、ちくま文庫や…

理想と現実

『田園交響樂』(1938,東寶映畫東京) 演出(監督):山本薩夫、製作:竹井諒、原作:アンドレ・ジッド、シナリオ:田中千禾夫、製作主任:関川秀雄、音楽:服部正、撮影:宮島義勇、主な配役:高田稔(日野東作)、原節子(盲目の少女・雪子)、佐山亮(東…

「本とはいったい何でしょう! それはもっともらしく書かれた嘘っぱちですよ!」(マカール・ジェーヴシキン) ドストエフスキー 木村浩訳『貧しき人びと』(1846)より。

本のこと

でとりあげた『破滅―梅川昭美の三十年』。この書評を、どこかで読んだはずだとおもって探していたら、見つかりました。谷沢永一さんの『紙つぶて』でした。見つけたついでに、その一部を引いておきます。 (『毎日新聞』大阪版に―引用者)掲載当時から紙面で…

「アッハッハ。小説がヘタクソだから、犯罪が分るんでさア」(巨勢博士) 坂口安吾『不連続殺人事件』(1947)より。

表紙の魅惑

明星編集部編 解題・橋本治『「明星」50年 601枚の表紙』(集英社新書) TVガイド特別編集『表紙で振り返るテレビ50年』(東京ニュース通信社) 小学五年生から高校二年生ころまで、切手を蒐集しておりました。『東京オリンピック』や『昆虫』など、…

眞に書を讀むものにとつて、この世界は何と廣大なものであらう。宇宙の寶庫は門を開いて、われわれのはいるに任せ、とるに任せてゐる。この庫にはいつて、あれもこれもと胸躍らせるものに、この世はまたとなく樂しいものである。 河合榮治郎『學生に與ふ』(…

恐るべき大人たち

『マタンゴ』(1963,東宝) 監督:本多猪四郎、製作:田中友幸、特技監督:円谷英二、脚本:木村武、原案:星新一、福島正実、ウィリアム・ホープ・ホジスン「闇の声」、撮影:小泉一、音楽:別宮貞雄、主な配役:久保明(村井研二)、水野久美(関口麻美)…

以前、ちょっとだけふれましたが、私は『タイムスリップグリコ』シリーズが大好きで(ブルボンの『懐メロクッキー』や『J'sポップスの巨人たち』、タカラの『昭和おもひで歌謡』―これは入浴剤入り―なども好きでした)、あたらしいものが出るたびに買っていま…

四月注目の新刊(文庫)

重松清『明日があるさ』(朝日文庫) 子安宣邦『福澤諭吉「文明論之概略」精読』(岩波現代文庫) 村松貞次郎『日本近代建築の歴史』(岩波現代文庫) ヴァレリー・ラルボー『幼なごころ』(岩波文庫) 山田風太郎『外道忍法帖』(河出文庫) 多和田葉子『ゴ…

デバカメの由来

今日は、「のぞき」の代名詞「デバカメ」*1の由来について書きますが、全然まとまっていないので、とりあえず、抜書きしておきます。ほとんどが孫引きです。 「デバカメ」というのは、もともと「池田亀太郎」の綽名でした。彼はのぞきの常習犯で、幸田ゑん子…

「いやいや、幸福じゃなくったって……、幸福だの不幸だのなんて、一体なんの役に立つんです。どうでもいいじゃありませんか。要するに、ますます純粋に、豊富に存続しつづけるということが問題。そうじゃないですか」(アルピイエ=園長) 安部公房『デンドロ…

記者たちの「三菱銀行事件」

讀賣新聞大阪社会部『三菱銀行事件の42時間』(新風舎文庫) 2004.11.5初版第1刷。 新風舎文庫の「シリーズもの」のうち、とくに「検証! 日本を震撼させた*1事件シリーズ」がおもしろい。私はこのシリーズの本を九冊所有していて、事件を「検証」した部分よ…

「シカト」

「アッコのことなんだ。あいつ学校へ行きたがらねえんだ」 「まだいじめられてんのか?」 「ううん。シカト(無視)されてるんだ」 「シカトか。やり方が陰険だな」 宗田理『春休み少年探偵団』(角川文庫,1988.p.59) …というように、「無視」の意味でつか…

「腕をみがく。そして、いくさに出て手柄をたてる。それから、一国一城のあるじになる。しかしな、そう考えているうちに、いつの間にかホレ、このように髪が白くなる。そしてな、そのときはもう、親もなければ身内もない」(勘兵衛) 黒澤明『七人の侍』(19…

新刊あれこれ

小林信彦『東京散歩昭和幻想』(光文社知恵の森文庫) この本、いったい何を改題して復刊したものなのか分らなかったのですが、なあんだ、『日本人は笑わない』の復刊本だったのですね。それだったら新潮文庫版をもっているし…。買わなくてもいいか。 斎藤一…

同じ星のもとに…

『眠狂四郎無頼控 魔性の肌』(1967,大映) 監督:池広一夫、原作:柴田錬三郎、脚色:高岩肇、撮影:竹村康和、音楽:渡辺岳夫、主な配役:市川雷蔵(眠狂四郎)、鰐淵晴子(ちさ)、久保菜穂子(おえん)、長谷川待子(志乃)、渚まゆみ(岩風呂の女)、…

「いつまでも昔のことを考えたって仕方がないだろう」(富岡兼吉) 「昔のことが、あなたとあたしには重大なんだわ。それをなくしたら、あなたもあたしもどこにもないじゃないですか」(幸田ゆき子) 成瀬巳喜男『浮雲』(1955,東宝)より。原作:林芙美子*…

「千里眼」を追って

寺沢龍*1『透視も念写も事実である 福来友吉と千里眼事件』(草思社) 2004.1.28初刷。 まず言っておきますが、私はオカルトや神秘体験の信奉者ではありません。いわんやガチガチの否定論者でもありません。UMAとか幽霊とか占いとか、まあ大抵のものは信じら…

「カリスマ」堤義明、ついに逮捕。 盛衰之理、天命と曰ふと雖も、豈に人事に非ざらんや。 いま、堤前会長の往時の栄華をしのばせるような対談集や関連本を読んでいます。だいたい、私は彼の「全盛期」を直接知る世代の者ではないので、こういう本を読むと、…

今日購った本

今日は、昼間も飲んで、夜も飲んで、…という一日でしたので、本を読むひまがありませんでした。かなり疲れているので、今日買った本を列挙しておくだけにします。 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫) 伊丹十三『女たちよ!』(新潮文庫) 伊丹十三…

「なんてったって僕は、あしたの日本のサブカルチャーを担うエースですからね。僕は醒めてなお酔いつづけるために、ビニール本という愚劣なメディアを使うんですよ。この卑小な時代の滑稽な象徴としてね」(神崎繁) 和泉聖治『沙耶のいる透視図』(1983*1,…

スターがズラリ

『爆笑王座征服』(1958,新東宝) 監督:毛利正樹、製作:大蔵貢、撮影:河原喜久三、音楽:長瀬貞夫。 毛利さんは、喜劇や時代劇だけではなくて、新東宝版『四谷怪談』とか『怪談 鏡ヶ淵』とかいったいわゆる「怪談もの」をも手掛けた名監督です。 演出・…

「いいか、いきさつは一切捨てて、正々堂々と戦うのも仁義のうちだ。立会人は降る雪だけだが、力のかぎり戦って、男の死に花を咲かせようじゃないか」(小洗音次郎) 安田公義『博徒一代 血祭り不動』(1969,大映)より。