必読の「妖怪論」

糸井重里監修『言いまつがい』(新潮文庫) 2005.4.1発行。2004年2月に東京糸井重里事務所より刊行。単行本がかなり売れたので、ご存じのかたも多いはず。投稿によって集まった「言いまつがい」*1がたくさん。文庫版解説(「あなたの中のあなたの仕事を知る…

興味津津の「茶飲み話」

最近購った本(刷り数のないものは「初刷」や「初版第1刷」) 杉本つとむ『にっぽん語―創造と探求の歴史』(現代教養文庫,1970)300円 杉本つとむ『日本語再発見』(現代教養文庫,1978改訂版2刷)200円 高田宏『言葉の海へ』(新潮文庫,1984)190円 志多…

バンツマよ、再び

気になる新刊は数あれど 福井重雅『漢代儒教の史的研究』(汲古書院) 斎藤たま『落し紙以前』(論創社) 渡邊一民『中島敦論』(みすず書房) 田畑暁生『メディア・シンドロームと夢野久作の世界』(NTT出版) 堀切直人『浅草 江戸明治篇』(右文書院) 井…

購った本や気になった本

『日本近現代文学とわたし』(id:samsa01)に影響をうけて、町田康『告白』(中央公論新社)を購入してきました。『讀賣新聞(夕刊)』に連載されていたもの。町田氏の小説を読むのは、これがはじめてです。讀賣新聞は毎日読んでいましたが、『告白』は挿画…

大正期の「大事件」

金子務『アインシュタイン・ショック(Ⅰ) 大正日本を揺がせた四十三日間』(岩波現代文庫) 2005.2.16第一刷。単行本は、1981年河出書房新社より刊行(新装版は1991年)。ただし一部は、『アインシュタインはなぜアインシュタインになったか』(平凡社,199…

雑駁な事がら

小沼丹の全集(全四巻)を出したから、小沼丹『風光る丘』が刊行されています。「作品集・全集に未収録の幻の長篇、四十年ぶりの復刊」などと書かれると、読みたくてたまらなくなります。しかし、新刊ではちょっと買えそうにない(無理をすれば買えないこと…

クマさんと愉快な仲間たち

このまえ、ひさびさに*1をのぞいたら、欲しい本がたくさん出ていて困りました。すこし迷いましたが、今日、辞書一冊、学術誌一冊、専門書三冊(計五冊)を注文。いずれも、昨年末か今年に入ってから出版されたものです。いかがわしい「におい」のする出版社…

気になる新刊

飯倉洋一『秋成考』(翰林書房) 立川談四楼『大書評芸』*1(ポプラ社) 渡辺信一郎『江戸の閨房術』(新潮選書) 『本の街神保町古書店案内』(ピエ・ブックス) 稲川明雄『龍(りょう)の如く 出版王 大橋佐平の生涯』(博文館新社) 持田晃『東京 いつか…

購った新刊の話

で、小学館文庫版『猿猴 川に死す』にふれましたが、ようやく今日、平凡社ライブラリー版を確認することができました。『天国地獄』を採録していた*1ので、立読みしました。たしかに、小学館文庫版が採録しない気持も分るけれど、わざわざ掲載を見合せること…

ぼくもあなたも名探偵

串間努『少年探偵手帳 完全復刻版』(光文社文庫) 1999.6.20初版1刷。 串間努さん。本書の著者プロフィールには、 学童文化研究家、商品文化年表家。スーパー店員、バス車掌を経て、医療業界誌編集者に。かたわら、昭和B級文化の記録を思い立ち、雑誌「日…

気になる新刊エトセトラ

今日は急な予定変更があったので、楽しみにしていた研究発表会にも行けず、かてて加えて、立寄るつもりだった新本屋にも寄れませんでした。 森銑三『新編 物いう小箱』(講談社文芸文庫)その他、気になる新刊がいくつかあったのに…。そういや、ちくま文庫や…

表紙の魅惑

明星編集部編 解題・橋本治『「明星」50年 601枚の表紙』(集英社新書) TVガイド特別編集『表紙で振り返るテレビ50年』(東京ニュース通信社) 小学五年生から高校二年生ころまで、切手を蒐集しておりました。『東京オリンピック』や『昆虫』など、…

四月注目の新刊(文庫)

重松清『明日があるさ』(朝日文庫) 子安宣邦『福澤諭吉「文明論之概略」精読』(岩波現代文庫) 村松貞次郎『日本近代建築の歴史』(岩波現代文庫) ヴァレリー・ラルボー『幼なごころ』(岩波文庫) 山田風太郎『外道忍法帖』(河出文庫) 多和田葉子『ゴ…

「千里眼」を追って

寺沢龍*1『透視も念写も事実である 福来友吉と千里眼事件』(草思社) 2004.1.28初刷。 まず言っておきますが、私はオカルトや神秘体験の信奉者ではありません。いわんやガチガチの否定論者でもありません。UMAとか幽霊とか占いとか、まあ大抵のものは信じら…

今日購った本

今日は、昼間も飲んで、夜も飲んで、…という一日でしたので、本を読むひまがありませんでした。かなり疲れているので、今日買った本を列挙しておくだけにします。 伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』(新潮文庫) 伊丹十三『女たちよ!』(新潮文庫) 伊丹十三…

ゴダールは俺の弟子だと豪語した男

ミルクマン齊藤監修『中平康レトロスペクティヴ』(プチグラパブリッシング) 2003.9.20発行。夜、ろくに「見」もせずに本棚へ突っこんでいた本を発見したので、今日はそれを取上げることにします。 「軽い快感モダニスト」といえば、森田芳光。そして、「究…

人さまざま

宇井無愁*1『きつね馬』(アルス ユーモア文學選書) 昭和二十一(1946)年八月三十日發行。 表題作のほか、五つの短篇(『お狸さん』『太った犬』『救世主降誕』『約束』『お孃さん大賣出し』)をおさめています。作者名の「宇井無愁」は、「うい・むしゅう…

父親として、政治家として

緒方四十郎『遥かなる昭和―父・緒方竹虎と私』(朝日新聞社) 2005.1.25第一刷。 緒方竹虎*1。以前もちょっとふれたことがありますが、「ポスト鳩山」と目された大政治家です。また、三木武吉、大野伴睦らとともに、「保守合同」の立役者としても知られてい…

杜詩を文庫で読むたのしみ

鈴木虎雄・黒川洋一訳注『杜詩』(岩波文庫) まずはginzburgさんの、《書林雜記@淡路》より。 http://d.hatena.ne.jp/ginzburg/20050220とうとう来ました、吉岡さん*1…ではなくて、「岩波文庫 春の一括重版」発売日。心待ちにしておりました。 …というのは…

岩波書店の新刊

『岩波書店の新刊(2005.3)』より、やや気になった三冊。 品田冬樹『ずっと怪獣が好きだった―造型師が語るゴジラの50年―』 去年はゴジラ生誕五十年で、いろいろやってました。ちくま文庫からも『ゴジラ』が出ました。 堀井令以知『ことばの由来』 これは岩…

推理小説のおもしろさとは

畔上道雄『推理小説を科学する ポーから松本清張まで』(講談社ブルーバックス) 1983.4.20第一刷。 「はじめに」にあるように、 健康だけを唯一の売物にしていたわたし(畔上道雄―引用者)は、五月中旬(一九八二年)に突然背中の痛む病にとりつかれた。こ…

ただ「番外篇」を読みたいがために

保阪正康『昭和史 七つの謎 Part2』(講談社文庫) 単行本と文庫本とを、ダブりで購入することはほとんどありません。理由は簡単。それほどお金がないからです。 しかし今回とりあげた、保阪正康さんの『昭和史 七つの謎 Part2』(講談社文庫,以下『Part2』…

愛而知其悪、憎而知其善。

楠精一郎『昭和の代議士』(文春新書) 2005.1.20第一刷。 戸川猪佐武原作、さいとう・たかを画『歴史劇画 大宰相』(講談社+α文庫,全十巻。1999.単行本:『劇画 小説吉田学校』讀賣新聞社,1988-1991)という、たいへんおもしろい漫画があります。「劇画…

ふるきよき在野の大家

日置昌一編『日本系譜綜覽』(講談社学術文庫) 1990.11.10第一刷。1936(昭和十一)年に改造社から刊行されたものを、覆刻・縮小し、若干の追補をほどこしたものです。 ひまなときに、なんとなく読みたくなる本があります。私の場合、この『日本系譜綜覽』…

古本びと、ここにあり

岡崎武志『古本生活読本』(ちくま文庫) 2005.1.10第一刷。『古本めぐりはやめられない』(東京書籍,1998)を再編集し、大幅に増補したものです。解説は、このあいだ直木賞を受賞されたばかりの角田光代さん。いきなりへんな話からはじめますが、「ちくま…

三月の新刊文庫本

三月の、注目新刊本(文庫)です。 しりあがり寿『小説 真夜中の弥次さん喜多さん』(河出文庫) 片島紀男『三鷹事件』(新風舎文庫) 猪瀬直樹『ミカドの肖像』(小学館文庫) 鈴木康允『ベースボールと陸蒸気』(小学館文庫) 森下雨村『猿猴 川に死す』(…

小津的な、あまりに小津的な

丸山健二『夏の流れ』(『文學界』,1966.11) 第二十三回文学界新人賞を受賞。翌年、第五十六回芥川賞(一九六六年下半期)を受賞。文藝春秋などから刊行されていましたが、入手困難になっていました。今回、本作品も含む丸山氏の初期の中短篇が講談社文芸…

読み物ふう辞典を掌中に

三省堂百科辞書編集部『婦人家庭百科辞典(上)(下)』(ちくま学芸文庫) 昭和前期の百科辞典*1が、なんと文庫本になりました。たいへんヴォリュームのある本です。解説は、文庫版『言海』とおなじく、武藤康史さん。 百科辞典というよりも、むしろ貴重な…

そりゃ、好きよ

内田樹『先生はえらい』(ちくまプリマー新書) 「学ぶ側」の個性や創造性は、それぞれの誤解の仕方においてのみ発揮されるという主張に、ハッとしました。読んでいる途中は、内容がひどく迂回しているとしかおもえないのですが、読み終えてから、それが内田…

コミさんの本

鈴木邦男『公安警察の手口』(ちくま新書) ひとくちに「公安」とは言っても、第一課と第三課ではずいぶん違う(のだそうです)。タブーに斬り込んでいるために「わからない」ことが多すぎて、そのためか、文章が少々くどくなっています。ただし、見沢知廉さ…