2007-01-01から1年間の記事一覧

植村清二

◆西丸震哉『山だ原始人だ幽霊だ』(角川文庫,1981)の「解説」(星新一)に、「西丸さんとはじめてお会いしたのは、ある雑誌での平野威馬雄さんを加えての座談会であった。怪奇特集号のたぐいで、平野さんが「お化けを守る会」に熱中しておられるころだった…

『血の収穫』

◆小林信彦さんが、本日付の『朝日新聞』に、「〈立っているだけでおかしい〉人―植木等さんを悼む」という追悼文を寄せている。「くり返し書いていることだが、植木さんはナマの舞台がもっとも面白く、次がテレビのバラエティ(「シャボン玉ホリデー」など)…

惜別会と古書店と

惜別会のため、大阪市内の某ホテルへ行くことに。早めに出て、大阪駅前第三ビルの汎書店で、鈴木和年『ある映画人の定年』(朝日文庫)250円、江藤淳『アメリカと私』(講談社文庫)150円、小泉信三『読書雑記』(潮文庫)100円、堀辰雄『聖家族・燃ゆる頬 …

澁谷實の『もず』、その他

一昨日、澁谷實『もず』(1961,文芸プロ=にんじんくらぶ)を観た。淡島千景の貫禄(それにしても「五十歳」という設定にはちと無理があったか)、それ以上に迫力のある山田五十鈴に圧倒される一本。有馬稲子の演技はまだちょっと生硬。成瀬巳喜男や今井正…

清張ブーム

松本清張に関連するものは、書籍にしろテレビ番組にしろ、なるべく目を通すことにしている。最近(ここ二箇月)の関連書籍をみてみると、全集未収録の『決戦川中島』が幻冬舎から発売されたし(解説は塩澤実信)、おなじく川中島の戦に材をとった「川中島の…

読書の腕前

岡崎武志『読書の腕前』(光文社新書)を、電車に揺られながら読了。退屈男さんがさっそく読了後の感想を書かれているように、わたしもたいへん面白く読んだ。佐藤泰志、プリーモ・レーヴィなど、気になる固有名詞をチェックしながらの楽しい読書だった。「…

宮城まり子の歌

一昨日、毛利正樹『黒猫館に消えた男』(1956,新東宝)を観た。唐沢俊一氏が書いているように、正しく「大珍作」なのである。「迷作」といってもいい。コミック・ミステリーなのか、はたまたサスペンス・コメディなのか、よく分からない。いや、そんな区別…

ディスカバー・ジャパン

森彰英『「ディスカバー・ジャパン」の時代――新しい旅を創造した、史上最大のキャンペーン』(交通新聞社)を読んだ。同書に、 「ディスカバー・ジャパン」キャンペーンは、足掛け七年間続いて、昭和五十一年に終わった。終了宣言を出したわけではない。使命…

「青線」つけたり

以前書いた、青線。広岡敬一『戦後性風俗大系―わが女神たち―』(小学館文庫)*1でも、 「赤線地帯」とは、「旧遊廓」のことを指す。警察当局が、地図に旧遊廓の公認売春地帯を赤線地帯で囲んだことから、この呼び名が慣用語になった。非公認の売春地帯は青線…

一月・二月に観た映画

某さんに、「ことし観た映画」のご紹介を約したのですが、それを年末に行うとなると、記憶が曖昧になりそうですので、キリのよいところでまとめて紹介して行くことにします。 今回は一月・二月に観た映画を挙げておきます。月によって本数にかなりムラがある…

神の如きアケチ

齋藤希史『漢文脈と近代日本―もう一つのことばの世界』(NHKブックス)を購う。戸板康二『中村雅楽探偵全集1 團十郎切腹事件』(創元推理文庫)が(ついに!)出ていたし(装釘も良い)、鈴木俊幸『江戸の読書熱―自学する読者と書籍流通』(平凡社選書)も…

河崎実の映画

所用で出たついでに、某骨董品コーナーにて、小島政二郎『葛飾北斎』(旺文社文庫)200円、木村毅『ネール―独立と人類愛に生きた生涯―』(旺文社文庫特製版)300円などを拾う。『週刊朝日』もようやく購入。いちばん読みたい記事は、もちろん「徳川夢声『問…

字幕屋のうちあけばなし

京都へ行って来た。「白川靜先生を偲ぶ会」。本邦初公開の写真を沢山見せてもらった。西田龍雄先生が…、石塚晴通先生が…。某政党のK議員が、「萬葉集」を「マンニョーシュー」と発音していたのが印象的だった(まだ四十なのに)。 行きの電車内で、太田直子…

乱歩作品の挿画

id:Akimboさん経由で、つい先ほど知ったこと。 あの「お言葉ですが…」が、「Web草思」で「新・お言葉ですが…」として甦っていた。昨年末から告知がなされていたというが、全然気がつかなかった。 中村嘉人『大衆の心に生きた昭和の画家たち』(PHP新書)は全…

グレート・ミステリーズ

某新刊書店にて、嶋中書店や恒文社(恒文社21)の出版物が、バーゲンブックとして放出されている。 「恒文社」の本では、カレル・チャペックのエッセイ選集(一冊税込750円、原価2100円)を幾つか見かけたが、そのうちの旅行記はちくま文庫(全三巻だそうだ…

ごぼう抜き

「東川端参丁目の備忘録」経由で知ったが、三月に、時枝誠記『国語学原論(上)』(岩波文庫)が出るのだそうだ。国語学関係のもので、私が最初に古書肆で購った本がこれなのである。 「続篇」も文庫で出るのだろうか。 源氏鶏太が新刊で出るということにも…

漢字とつきあう

佐藤優の二審有罪判決、思ったよりも騒がれてないなあ。 現在朝日新聞に連載されている、「漢字とつきあう」を読んで思ったこと。 「衆参両院のホームページには『議員氏名の正確な表記』一覧がある。一般的な旧字・異体字も多いが、違いが分からないものも…

贈物と、良い音楽と。

こないだ、ブルックナーの第七番がEMIの廉価盤に二種入っていると書いたが、あれはマチガイで、「CREST1000」だった。マタチッチ&チェコ・フィルと、ブロムシュテット&ドレスデン・シュターツカペレの二種である(いや、EMIの1300円シリーズにもヨッフムの…

梅田、そして難波で。

u-senさんからお誘いがあって、梅田でお会いすることにした。心身ともにすさんでいたので、ご厚意が身に沁みる。 千日前古書センター(約一箇月ぶり)で、高木市之助『古典春秋』(毎日新聞社)500円、新村出『花鳥草紙』(中央公論社)函缺800円、十河巖『…

『燈台鬼』を読みたい

七尾和晃の新刊『闇市の帝王―王長徳と封印された「戦後」』(草思社)の「参考文献」一覧を眺めていると、時々、おやというのが出て来る。杉本つとむ『江戸の博物学者たち』とか、三浦つとむ『日本語はどういう言語か』とか、松岡正剛『ルナティックス』とか…

で、結局、妾は何人?

いま読んでいる、丸谷才一編 芥川比呂志『ハムレット役者』(講談社文芸文庫)の「タイツ」(pp.14-17,初出は一九七一年九月の「劇」とか)は、あるエピソードがおもしろおかしく誇張されてゆく話で、思わず笑ってしまった(徳川夢声や三島由紀夫も出て来る…

朝日字体が消える?

「朝日新聞」の字体が一部、変るのだそうだ(朝刊の第十二面)。表外漢字のうちのいわゆる「朝日字体」を「康煕字典体」に(約900字がその対象)、ということで、これはつまり七年前(!)の「表外漢字字体表」(国語審議会答申)に随った結果である。 「Mac…

『文藝春秋』の「昭和の美女」

研究会後、某先生から紅葉全集を頂いた。昼食後、Tさん・Oさんと阪神古書籍即売会にゆく。 大矢透編纂 上田萬年監修『音圖及手習詞歌考』(大日本圖書株式會社)2000円と、渡部晋太郎『国語国字の根本問題』(新風書房)2000円を購う。単価が高いので(相…

松竹版『球形の荒野』

貞永方久『球形の荒野』(1975,松竹)を観た。あの長い小説を、百分ていどに巧く纏めている。とはいえ、芦原節子などといった主要人物は出て来ないし、展開にもかなりの改変がある。山形勲がいい。乙羽信子がいい。そう云えば、『天国の駅』のラストで吉永…

『昭和なつかし亭』夜席

けさの日経の広告で知ったのだが、ロレンス・ダレル『アレクサンドリア四重奏』全四巻(「ジュスティーヌ」「バルタザール」「マウントオリーヴ」「クレア」)(河出書房新社)が、高松雄一による「全面改訳」版で単行本として出るらしい(今年の三月から逐…

『初笑い! オールスター 昭和なつかし亭』

正月三が日のテレビ番組。映画*1を除くと碌なものはやっていないような気がする*2(昨年は、三が日ではなかったが、古畑任三郎ファイナルがかかっていた)。山本モナが復活するとかで年末から話題になっていたお笑い番組を見てみたが、ものの五分と経たない…